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RE100・再エネ100宣言RE Action完全ガイド|参加手順・メリット・事例を解説

RE100・再エネ100宣言RE Action完全ガイド|参加手順・メリット・事例を解説

「再生可能エネルギー100%を目指す」というキーワードを耳にする機会が増えました。企業経営においても「脱炭素」が大きなテーマとなる中、RE100や再エネ100宣言 RE Actionは注目度が高まっています。

この2つのイニシアティブは、単に環境に配慮する取り組みというだけではありません。参加することで企業価値を高め、投資家や取引先からの評価を得られる重要な枠組みです。

しかし、「どうやって参加するのか?」「何が違うのか?」と疑問を持つ方も多いでしょう。解説に入る前に、まずはクイズです。

Q1:RE100の"RE"は何の略?

1.Renewable Energy(再生可能エネルギー)

2.Reliable Electricity(信頼できる電力)

3.Resource Efficiency(資源効率)

(答えは記事の最後)

クイズは2問あるので、この後出てくるもう1問もぜひ挑戦してみてください。
本記事では、RE100と再エネ100宣言 RE Actionの違いから具体的な参加方法に関する以下の内容を、環境教育と持続可能な社会づくりの専門家である池田陸郎が解説します。

目次

RE100とは?

RE100は、「Renewable Energy 100%」の略で、企業が事業活動における使用電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す国際的なイニシアティブです。

  • 運営:国際的なNGOであるThe Climate Groupが主導し、CDPが協力しています。
  • 目標:2050年までに100%再生可能エネルギーへの切り替えを達成すること。
  • 対象:主に大企業が中心。

ポイント

RE100は世界中の大手企業が参加しており、日本でも約90社が加盟しています。企業は再生可能エネルギーの導入を進めることで、脱炭素社会の実現に向けたリーダーシップを示せるのです。

出所:RE100・EP100・EV100国際企業イニシアチブについて

再エネ100宣言 RE Actionとは?

再エネ100宣言 RE Action(以下、RE Action)は、日本国内で展開されている再生可能エネルギー導入の枠組みです。

  • 運営:日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)やIGESが主導。
  • 目標:遅くとも2050年までに使用電力を100%再生可能エネルギーにすること。
  • 対象:年間50GWh以上の電力量を使用する大企業が中心。ただし、自治体や中小企業も参加可能。

ポイント

RE Actionは、日本独自のイニシアティブであり、国内の中小企業や自治体が参加しやすいことが特徴です。環境意識の高い中小企業にとって、手軽に「脱炭素」に取り組むチャンスと言えます。

RE100とRE Actionの参加条件と対象企業

RE100とRE Actionには共通点も多いですが、対象や参加条件には違いがあります。

イニシアティブ

運営機関

対象企業

目標

RE100

The Climate Group

大企業が中心

2050年までに再エネ100%

RE Action

JCLP / IGES

大企業、中小企業、自治体

2050年までに再エネ100%

RE100は国際的な大企業が中心ですが、RE Actionは中小企業や自治体も積極的に参加しています。「大企業向け」と「主に中小企業や自治体」の違いを理解した上で、適切な枠組みを選びましょう。

参加するためのステップ

では、RE100やRE Actionに参加するにはどうすれば良いのでしょうか?

ステップ1:目標設定

まずは、「2050年までに100%再生可能エネルギーを達成する」という目標を設定し、社内外に公表します。

ステップ2:申し込み手続き

  • RE100:The Climate Groupの公式サイトから必要書類を提出。
  • RE Action:JCLPやIGESの公式サイトからエントリーし、参加費を支払います。

ステップ3:進捗の報告

参加後は、年間の使用電力量と再エネ率の進捗状況を報告する必要があります。

ステップ4:具体的な取り組み開始

例えば以下のような取り組み方法があります。

  • 自社施設に太陽光パネルを設置(オンサイト)
  • PPA(電力購入契約)を活用し、遠隔地の再エネ電源を確保(オフサイト)
  • 再エネ100%の電力メニューを選択

これらの手法については、次回の記事で詳しく解説します。

参加企業のメリット

以下のようなメリットが期待できます。

  1. 環境対応による企業価値の向上
  2. 投資家や取引先からの評価向上
  3. エネルギーコストの削減
  4. 競争力強化とブランドイメージ向上、人材の安定確保

大手企業

RE100に参加することで、CDPのスコアアップやSBTのScope2の目標達成と整合させることができます。これにより、上場企業においては開示する非財務情報の質を高めることができます。また、自社の工場やインフラの再エネ率を高めることで製品やサービスのカーボンフットプリントを下げ、顧客企業のScope3の削減に貢献することで持続可能な取引を目指すことができます。環境意識の高い顧客からの支持や優秀な人材の獲得も期待できます。

中小企業

現在、再エネ100宣言 RE Actionに参加している中小企業等は、地域や業界において初の再エネ経営への参加を表明するといった先駆者メリット(地方紙への掲載や自治体との連携)を享受する事例が多く見られます。
大手企業に比べると電力使用量の少ない中小企業では、再エネ転換コストが少ないケースも多く、2025年1月現在、再エネ100宣言に参加する392団体中、*再エネ率100%達成件数は68件に上ります。

参加メリットは大手企業と同じく顧客企業への訴求力向上です。再エネ100%達成企業の大部分が法人を顧客にもつ製造業やサービス業であり、自社事業の再エネ率を向上することが顧客のscope3を削減する付加価値向上につながります。顧客企業側も、再エネ100宣言参加企業に発注することを各種環境関連報告書に記載することがメリットになります。

出所:各団体の目標(再エネ100宣言 RE Action)

ここでクイズ!

Q2:RE Actionに参加できる対象は?

1.日本の大企業のみ

2.日本の中小企業や自治体

3.海外企業

(答えは最後)

まとめ

RE100と再エネ100宣言 RE Actionは、企業が再生可能エネルギー100%の実現に向けた取り組みを示す重要な枠組みです。

  • RE100:国際的な大企業が参加し、グローバルに影響力を示す
  • RE Action:中小企業や自治体も参加しやすい国内向けの枠組み

この記事を読んだ方におすすめのアクション

  1. 自社の年間電力量や再エネ率を確認する
  2. RE100またはRE Actionの公式サイトをチェックし、参加条件を確認する
  3. 社内外で目標を共有し、参加手続きを進める

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!よかったらもうひと記事、読んでいっていただけたら嬉しいです。脱炭素のお困りごとを相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。

クイズの答え合わせ

Q1:1. Renewable Energy(再生可能エネルギー)

Q2:2. 日本の中小企業や自治体